Gorschとして11回目のコレクションのthemeは盛岡市で南部鉄器を製作する鈴木盛久工房です。
春夏秋冬と1年を通したthemeとさせて頂きました。
主役は16代鈴木盛久である鈴木成郎さん。
岩手の伝統と言えば、真っ先に思いつくのが南部鉄器と岩谷堂箪笥。
今回は南部鉄器に焦点を当て、僕が思い描く鉄器職人の服を製作しました。
鈴木盛久工房は寛永2年(1625年)より続く、長い歴史を持つ工房です。
現在まで15代続いおり、来年には16代鈴木盛久へと受け継がれます。
技術はもちろんのこと、僕が興味が湧いたのは各世代で各々独自のスタイルがあるという点です。
これも南部鉄器なんだと思わせる作品が多々あり、良い意味で南部鉄器に対するイメージが変わりました。なんにせよ鉄器の曲線がとても美しいのです。
小物類も伝統と遊びがバランスよく混在していて、とても素敵なデザインの数々。
日々の暮らしに取り入れられたのなら、充実した毎日でしょう。
撮影当日は実際にGorschの服を職人の方々に着てもらい、作業してもらいました。
デザインはドイツの工業製作現場の本にある製鉄にまつわる写真と南部鉄器の写真資料、そして成郎さんとお話ししていて思いついたアイデアを僕なりのワークウエアに落とし込みました。
服のシルエットを成郎さんの体に合わせるため、数回のフィッティングを重ねました。
工房はと言いますと、明治17年に盛岡で大火が起こり、その際に元々の工房は焼失してしまったとのことですが、現在の場所に移ってから100年以上経っているので、工房内はさすがの迫力です。
工程の一つ一つが手作業で、それは丁寧なものだから手間と時間がかかっています。
そしてとても汚れます。1日だけ着ていた服とは思えないぐらい汚れました。
この汚れが服に良い味わいを付け加えてくれるのです。
工房ならではの汚れというのは、どの分野であれかっこいいものだと思っています。
さすがにお店に並ぶ服にはその汚れはつけられないので、購入して頂いた方々が、各々の汚れをつけていってもらえれば嬉しいです。
作業中の職人の皆さん、かっこよかったです。動作の一つ一つ、眼差し、姿勢。
この時の撮影は春夏の服だったのですが、雪が降りました。とても綺麗な雪でした。
秋冬の服は、またその時期にお見せします。
Gorsch 鈴木