現在リリースとなっている2022AWコレクションのルックモデルにお願いしたのは、地元の保育園からの友達’RYO’です。
彼は建具や家具を製造する地元の木工会社に勤めています。
高校卒業後18歳からその道に入り、木工一筋、現在に至るまで腕を磨き続けています。
僕が彼をモデルに選んだのはただ職人だからという訳ではなく、試行錯誤し、日々’自分自身’をどう表現していくか考えながら腕を磨いているところに共感を得たからです。
日本の社殿建築はもちろんのこと、特に北欧家具が好きで、時代背景をはじめ、どういう構造なのだろう?どんな背景でこの曲線は生まれたのか?どういう想いで。。。などなど、過去の名作から技術の奥にある作り手のセンスなども彼なりに感じながら、オリジナルの’今’の作品を作っていく。
これは僕がやっているような服の作り方となんら変わりありません。
僕はそんな彼が作っている家具や建具は、シンプルなデザインの中に色々な工夫がされていて、見ていてワクワクするものばかりです。技術とセンスが良いバランスでまとまっていて、長く長く使うことのできる良い家具/建具です。
ルックの中で椅子を1脚登場させました。
その椅子は彼がまだ未熟の頃(今でも未熟と言っていますが。。。)周りの助けを借りながら作り上げた1脚。その1脚が僕の心には刺さりました。説明がうまくできないことなのですが、がむしゃらにこんな風に作りたいんだという想いを実現させたような印象です。まず、なんかかっこいいんです。
この、なんかわからないけど’良い’という感覚は服作りにおいて大事にしています。ぱっと見の印象というのは、誰しもがそうだと思うのですが、自分自身の経験を通して見えてくるものなので、重要な事と捉えています。もちろん直感だけでも良くないのですが、指針になります。
ちなみに、僕が地元に拠点を移すきっかけの一つになったのは彼の存在でもあります。
正直僕の地元はかっこいいと思えることがとても少ないです。帰国した直後はこの街で作品を制作するイメージが全く湧かなかったです。
しかし、RYOはずっと地元にいながらかっこいい事をしているし、視野が広い。何か一緒に面白いこと出来ないかな?少しはココを変えられないか?という気持ちが芽生えました。そしてよくよく見てみると、ココにも少しずつ良い動きが増え始めています。すこーしですが。
また、不思議であり必然なのですが、彼の周りは分野は違えど、やはり同じようなモチベーションの人達が集まります。ワクワクしてきますね。これぞthe merry coachmanの考え。
まだまだGorschでやることが山積みなのですが、徐々に環境が整ってきているので、自由な時間を増やして、服を通してたくさんの人と出会い色んなことに挑戦していくのが、服のデザインにまた返ってくると思っています。
次のGorschのテーマもすごく良いので楽しみにしていて下さい。
最後に、撮影の締めに彼の家族写真を撮りました。フォトグラファーのJOJIの案です。
作業中の彼の顔は険しく、戦っている男という印象。しかし、家族と座った彼の表情は優しい父そのもの。そんな両極端の二つの顔を見たときにやっぱかっこいいなーと思ったのです。
Gorsch 鈴木